CASIOが QV-10で開拓したデジカメ市場だが、今年(1998年)になっていよいよ大きく開花してきたことは間違いない。ここへきて Canonの元気がいい。Canonは 1996年に PowerShot 600(写真資料参照)を投入したものの、デジカメとしての魅力を十分に実現できず、翌年には松下からOEMを受けるという、AFカメラのトップメーカとしてはある種、屈辱的な状況となった。その分、今年の同社のデジカメに対する気合の入れ様は尋常ではない。
年初に発売された PowerShot A5 は、デザインの良さ、作りの良さが相まって、私の Canon製デジカメに対するイメージを根底から覆したなかなか魅力的な一品だったのだが、いかんせん今更ながらの 81万画素、そしてズーム非搭載という貧弱さで今一つ煮え切らないものがあったのも事実だ。と、ここへきて Canon PowerShot A5 Zoom の発売なる記事を発見してしまった。
おぉ、これはいけるジャン!!
相変わらず 81万画素と、今時にしてはしょぼい解像度が気になる*ものの、ジュラルミン外装に光学ズームというとてつもない魅力。そして比較的大容量の 8MBフラッシュ付属だ。オフィシャルホームページを見ても、カメラとして非常な使いやすさを感じさせるものだ。欲しいぞぉ~。新製品に対する物欲をはじめて感じた瞬間であった。
本物欲日記をご覧になっている皆様ならお分かりのこととは思うが、私は「枯れた」製品を買うことをモットーとしている。それは、初期ロットの危うさというものを痛感していることと、カタログスペックに現れにくい操作性や機能性などに一定の評価が定まってから導入するという慎重さの顕れに他ならない。しかし、今回ばかりは猛烈に欲しくてたまらない。今までとは違い、資金に(微々たる量だが)余裕があるせいかも知れない。
発売日である 23日からショップ通いが始まった。なかなか実物にお目にかかれなかったが、ついに翌週末にアプライドにて保護することができた。
使い始めて感じたことだが、とにかくこのカメラはカメラとしての使い勝手がいい。程よいオートホワイトバランスと、夜景モードにおける感度の良さ。機動性の高さと片手で余裕というグリップの良さ。モードダイヤルの使い勝手の良さ。カメラを持ち歩くことの楽しさというものを存分に感じさせてくれる逸材である。
そのため、このカメラは、どこにいくにも365日必ずバックの中に入っているという、私の常備アイテムとなった。この時点では、まさかこのデジカメで5千枚も撮影することになろうとは思っていなかったため、充電電池のキットを買っていなかったことが非常に悔やまれる。これだけ使われれば開発者も本望だろう (^^;)
いいとこづくめのカメラだが、あえて難を言わせてもらえば、
というところだ。ただ、電池寿命とシャッターのキレを除くこれらの欠点の多くは後継機で改良されている。