10年前までは、ペリフェラルバスの最有力規格であった SCSIだが、ここ数年のマーケットを見ると、その将来性に NOと言わざるを得なくなってきた。
まず、SCSIがその高速性と拡張性を如何なく発揮するはずの HDDについてだが...
昔は、512MBが上限で将来性を不安視されていた IDE規格も、E-IDE、さらに LBA拡張と、ここ数年で延々と改善され容量上限の問題も一段落。データレートも ATA/66、ATA/100、ATA/133 と高速になり、今となっては SCSIより随分安価な環境を提供している。一方のSCSIも160MB/sec などという規格もあるにはあるのだが、個人用途でマシンを使用している限り、ATA と比較して、SCSIの C/Pの悪さは群を抜いている。
さらに、HDD以外の SCSIデバイスに目を向けてみると、MO, CD-R/RW, DVD, スキャナ, プリンタなど多数挙げられるが、いずれについても、現状、IDE(ATAPI) や USB, IEEE1394, Ethernet など、SCSI以外の接続形態が主流になりつつある。
さらには、何が何でも SCSIというデバイスについても、最近では USB-SCSI変換器なるアイテムもあるため、SCSIアダプタボードを無理して買う必要性も薄くなっている。
そういった事情があってのことか、とにかく Adaptec のヤル気がない。私の持っている AHA-2940 など、3万円近い大枚を叩いたのにも拘わらず、SCSI-BIOSアップデートやサポートなどまるでなし。Adaptecの公式サイトを覗いても、もはやこの会社が何を作っているのか一見してわからないという状況である。
思えば、Win 98 で USBや IEEE1394 がサポートされてからというもの、世の中はシリアルバス一色である。実際、シリアルだとケーブル芯数もコネクタの接点数も SCSIと比較して圧倒的に少ないので物理的にも安価となり、さらに、信頼性まで向上するのだ。過去散々言われてきたシリアルの唯一の弱点「転送速度」についても、アイソクロナス転送などにより 400Mbps overが実現されていることを考えると、一般的な SCSI(Ultra SCSI)などより速くなってしまう。
もう、SCSIは死んだ といってもよいだろう。
私的には、どちらかというと SCSI 信奉者であったため、現在でも SCSI 経由で MO, CD-R/RW, スキャナと繋げている。逆に、まだ SCSI IDも余っているので気分的には全部埋めたいところだ(笑)。
ただ、本当によくよく考えると、SCSIボードを挿しているがためにマシンの起動が遅くて遅くて仕方ない。起動を少しでも早くしようと、起動時のサウンドを無効にしたり、スタート画面をオフにしてみたり、CPU換装してみたり、場合によってはレジストリを触ったりなどと、せこせこと涙ぐましい努力をしているのに、SCSIボードが存在するばかりに、ブートにかかる時間は相変わらず待ち時間のほうが長かったりする。
SCSI機器を導入した時点では他に有力な選択肢がなかったこととはいえ、こうなると、今となっては、「高い金を払って不便な SCSIを使っている」ということが、考えれば考えるほどバカらしくなってきた。
いよいよ発動するときがきたか。SCSI機器を全廃すれば、貴重な PCIスロットも空くし、マシンのブートも早くなる、接続ケーブルも安価になり PnPも容易でノートパソコンとも周辺機器が共有できると、いいことづくめだ...。