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[2001.06.09] TOSHIBA Libretto L1 (パソコン)

新型 Libretto 超入魂レポート

Libretto L1 カタログ抜粋

5月末になり、ようやく店頭で見かけるようになった Librettoは、触ってみると、私の予想を超えた完成度だった。液晶はとにかく広く、発色もよく見やすい。キーもそれなりに打ちやすい。キータッチも、なんだか 昔使っていた PC-9801ns/R を思い起こさせるようなもので、ちょっと懐かしい感じだ。ピッチもかなり考えられており、デスクトップと比べても、さほど違和感がない感じだ。今使っている Let's note miniは、キーボードの小ささが仇になって、到底文章を書こうという気にさせないということもあるので、このサイズのキーはとっても魅力的だ。出先などではきっと役立つことだろう。しかも13万円台というこの値段は、Libretto シリーズ全般に値頃感があるとはいえ、このクラスの常識的価格を大幅に下回るものだ。ただ、ちょっと残念なのは、表面仕上塗装が、色こそ良いものの、とても仕上げが安っぽいことと(おもちゃ並みだと思う^^;)、なぜか LAN端子がなく V.90モデム搭載だということだ。

特に、LAN端子がないことについては最後まで引っかかったところで、これがもとで、さらに 2週間も散々悩んだのだが、どうあがいても手持ちの Let's note mini が壊れているという事実に背を向けるわけにも行かず、結局、10%のポイントバックを考慮してビックピーカン(旧名:ビックパソコン館)で購入することに。ついでに盗難などにも対応するビック保証にも 1,000円払って加入。なお、後で知ったことだが、ベスト電器は先着10名にフロッピードライブ進呈ということで同じような値段だったらしいのでちょっと悔やまれる。

いきなり初期不良にあたる

さて、実際に購入すると、いきなりトラブル。なんと電源が入らない。正確に言えば、POWER LEDだけは点灯するが、全く起動しない。[電源]を長押し、リセットして POWER OFFにする→また入れるということを繰り返しているうちに、運良く電源が入ることがある。なんだか、メインPCBのどっかがハンダブリッジしているとか、flash memoryが死にかかっているか、そう言った印象だ。数日そのまま使うがまるで改善せず、お店に持っていくと結局、初期不良で交換になるとのこと。代替品がくるまでそのまま待つことに。何たる不運。では、気を取り直して使用感を。

使用感レポート

操作性

いきなり不満をぶつけて申し訳ないが、使っててとにかく苛立つのが、蓋の開けにくさ。店頭で最初見たとき、どうやって開けるか本当に悩んだ。言葉は悪いが、まさか力づくで開けさせる仕様だったとは、本当にオドロキだ。皆さんにも、ぜひ店頭で触れて試して欲しい。筐体強度の確保とか、いろいろと理由はあるのだろうが... 店頭でLibrettoを見て一発で気に入って、で実際に手にとって蓋を開け閉めした瞬間、購買意欲を失った人が全国に数万人はいることだろう(断言)

せっかく片手で軽々と持てるキュートさなのに、いざ使おうとした瞬間、しっかりした台の上に置いて、両手で踏ん張って蓋を開けねばならないというだけで、モバイルマシンとしての魅力が全て台無しだ。徹底したマーケティングに基づいて作り上げたなどと雑誌インタビューには書いてあるが、踏ん張って開けねばならない軽量モバイルマシンなど、あまりにもお粗末だ。本当にもったいない。Librettoのパンフレットには、女性がしなやかに使いこなしてるようなイメージ写真がここぞとばかりに載っているが、この蓋の開けにくさでは冗談じゃぁない。マニキュアを塗った、ちょっと伸びた爪だと、まず開けられない、ヘビーな蓋である。試作機のモニタリングとかしなかったのかな? ポケットボード(DoCoMo/SHARP)は、爪の伸びた女性でも使いやすいよう徹底的に配慮したということだが、そういう意味では、この新型 Librettoは、一体どこに購買層のセグメントを設定し、商品展開スキームを組み立てているのかさっぱり理解できない。もう一度、ミニノートというジャンルに求められる「軽快さとスマートさ」を十分考慮し、次機種の開発に生かしてもらいたいところだ。

外観・デザイン

ACアダプタの末端

ACアダプタについては、ユニバーサル(100~240V)対応の割に、タバコ箱1.5個分ぐらいと、比較的小さめでよい。ただし、PC側の口がストレートなのがとても残念(←写真)。これはL字タイプのものに比べて、不要なテンションがかかって断線しやすく、また抜けやすい。本体を戦略的値付けにした分、保守部品で儲けよう という作戦なら話は別だが、そうでなければ是非改善を望むところだ。少なくとも過去の Libretto では L字タイプだったはずだが、一体ナゼ...??

また、外装塗装も懸念されたとおり、かなり弱い。この文章を書いている時点で、使い始めて僅か2週間しか経っていないというのに、かなり擦れて安っぽくなってきている。うーん、もうこうなったら保証期間が切れた頃に、自分で塗りなおすしかないですねぇ(爆笑)

携帯電話やMDを筆頭に、様々なモバイル機器があるが、これらは結局、その人のライフスタイルを彩るファッションそのものだ。だからこそ、NECの折りたたみ iモード端末とか、MDウォークマンなどが成功しているのだと思う。ミニノートもこのジャンルであり、人も羨むような高級感のある端末を多くの人に持ち歩いてもらうことこそが最大の広告になる。特に Librettoともなるとネームバリューがあるのだから、仕上げが良ければ黙ってても売れるはずだ。そう言う意味では、広告費を削ってでも、外装とその耐久性確保には、もっとコストをかける必要があるはずだ。最近、IBMから出た鏡面仕上げの ThinkPad は別格としても、持ち歩く機会の多いサブノートだからこそ、塗装の仕上げと耐久性にはもっともっと気を配って欲しいところだ。

本体サイズについては言うことなし。重量こそ 1.1kgと、Let's note miniの拡張ボックス装着時と同じだが、ACアダプタが小型化したのと、厚さが半減した分、かなり軽くなったように感じる。CPU が、Cruesoe 600MHzというのも、モバイル Pentium III が続々と採用されている昨今、ちょっと気にかかっていたファクタではあったが、実際に使ってみると何の問題もなし。思っていた以上の軽快なスピードで動作してくれている。プリインストールソフトが厳選され、少ないことも軽快な動作に一役買っているかもしれない。

そうそう、最近、数多くのパソコンメーカーは「これでもか~」とばかりに、使いもしないようなソフトをテンコモリに入れて売っているが、余計なお世話である。特に、常駐物については、バッテリ残量を喋ってくれるソフトとかいろいろと入っていることがあるが、これらは、ただでさえ貴重な Windowsのシステムリソースを無駄に食いつぶし、起動は遅くなるわ、Windowsの動作は遅くなるわ、不安定になるわ、ハングアップするわで、本当に迷惑千万だ。百害あって一利なしなので、即効で削除することをお勧めする。一方、今回の Libretto についてみると、プリインストールソフトについては本当に役立つものに限られており、かなり吟味された様子が伺える。また不要な常駐モノもなく、Windows Me だというのにシステムリソースが 80%近く空いているので、当初予想していたよりも、はるかに安定して使えているのでありがたい。こういった面は、カタログには顕れないが、大変嬉しい心配りである。

入力デバイス

アキュポイントは、数年前に比べれば幾分進化しており、細かいコントロールはしやすくなった感がある。しかし光学式トラックボールに慣れた私の体は、スティックには戻れなかった...。やっぱ USBマウスは必需品じゃな。一方、新搭載のスクロールボタンは、インテリマウスのホイールに該当するが、スクロールスピードが可変でないので、ないよりはマシかな? という程度のものでしかない。

一方、新採用 18mmピッチのキーボードは、市場調査を反映して決めたという新Librettoのウリである。これはミニノートの概念を覆すほど快適で、特筆ものである。カーソルキーの配列や位置についても文句なし。キータッチについては、ちょっとゴムっぽく、メカニカルタッチ好きの一部の方には不満かもしれないが、実際に使ってみると、会議やセミナ会場、図書館などの静かな場所でも違和感なく使用できるという意味で、ミニノートとしての実用に即しており高く評価できる。ただし、[漢字]キーはとても小さく、押しにくいところにある。ソフト側でキー配列を変更するなどすれば解決するが、やはり漢字キーは使用頻度が高いだけに、ここはちょっと残念だ。

液晶表示

新 Libretto のもう一つのウリであるポリシリコンTFTワイド液晶、なんと、1280×600とかなりの幅を持っているのだが、これが実に使いやすく、使えば使うほど馴染んでくる感じだ。ウインドウを3つ横に並べて十分作業ができる広さで、こうなるともう普通の液晶には戻れない。ただし、最近は、PDF文書が世の中にはびこっているため、A4「縦」という書面を使う機会が増えてため、そんなとき、やっぱ縦600はちょっと狭いかなと思うこともある。液晶の発色は良く、視認性も大変よいため、ミニノートという制限の中でも極めて実用的な仕上がりになっているのは本当に嬉しい。

各種入出力

USB端子もこのクラスにしては珍しく 2ポート搭載しており、USBマウスと他装置との併用を可能にしている。そのため、USBハブで分岐せねばならないようなこともなく、USB電力も2ポートに十分供給でき、とても助かる。とにかく、本体が軽いうえに USBハブを持ち歩く必要がないというだけで、十分に期待以上の内容だ。この前買った Canon の USB給電式スキャナも、何の問題もなくしっかり動作した。

ところで、内蔵 V.90モデムは、フレッツISDN+H"ユーザの私にとっては、全く価値のないものであった。もっともこれは私の個人的事情であって、多くの人にはありがたいことかもしれないので、あまり言及しない。まぁ、私的にも、海外にいくようなことがあれば V.90が付いてる方が役に立つだろうから、まぁよしとするか...?

しかし、iLINK端子などがついているくせに LAN端子(RJ45)がないというのは本当に惜しい。そのせいで、1個しかない貴重な PCカードスロットが、常に LANアダプタで埋まってしまう宿命にあるので、デジカメのメモリカードひとつ読み込むにも、毎回毎回ネットワークを停止させることになり、とにかく不便。あーあ、USBカードリーダ購入が別途必要なのか?? ほんと iLINK余計なお世話だよな...

だいたい、サブノートごときでばんばんビデオ編集するような人間が、世の中に一体何人いるんだ?? どうしてもサブノートで iLINK使いたいという人は VAIO買えばいいっしょ?? ブロードバンド接続がキーワードのこのご時世、iLINKなんかより、LAN端子か Wi-Fi対応無線 LANモジュールを標準で付けてもらったほうが、100万倍価値があると思うぞ。それが無理なら、USB-LANアダプタ付けれるように、USB端子をもう一個付けてくれぇ~(笑)

最後になってしまったが、実は、新 Librettoで最高に嬉しい配慮が、立派なボリュームダイヤルの搭載である。ボリュームの設定をすべてマウス操作に任せてしまうというノートパソコンが数多い中、この薄さとこの価格のミニノートで、これほどまでに操作しやすいボリュームダイアルを搭載してくれているのは、実用上極めて価値のある判断で、大いに評価したい。カタログでは殆ど触れられておらず、あまりにも地味な特長だが、実際に使えば使うほど、このサイズのミニノートにあって、操作しやすい場所にあるボリュームのありがたみが、噛めば噛むほど味が出る、そんな感じで実感できることと思う。

まとめ

まとめると、「Libretto のパソコンとしての完成度は非常に高い。その分、見る人によっては、多少アラ削りのところが目立ってしまうかも」という印象だ。

そんなわけで、不満点もいろいろと書いたが、この性能と実用性、そして 12~13万円台という破格とも言える価格を考えると、個人でモバイルマシンとして使うには、文句なしに十分な性能で、個人的にも大変満足しています。人によっては、1台目のマシンとしても十分使えることでしょう。これで iLINKの代わりに LAN端子があればなぁ~(まだ言うか?^^;)

東芝の方が、このページを見られて、後継機の Librettoにいろいろと反映されて、ついでに試作機をモニタプレゼントなどしてくれると、とっても嬉しいんだけどなぁ...(*^o^*) レポートたくさん書くのになぁ。おや、このページだけでも既に 12KBもあるのか!

後日談

追記1:BIOS更新

さて、Librettoの初期不良品の交換が終わって、しばらく使っていたところ、東芝、同社製PCで16bit/3.3VのPCカードが故障する不具合(impress様の記事) なる発表が! 会社で coregaの 3.3V専用 無線LANを使っている私としては、これは見逃せない問題だ、というわけで早速 BIOS を update。ちなみに、USBフロッピドライブとして、Let's noteや VAIO のものが使えている(*)ことを報告しておこう。
(*)【厳重注意】メーカーの純正品以外の周辺機器使用によって生じた不具合や損害は、各自の責任となります。本ホームページ閲覧上のご注意もご一読ください

あと、Libretto の電源ユーティリティ(コントロールパネル→東芝HWセットアップ)の「アラーム」の設定などを変えても反映されないという不具合が個人的に猛烈に気になって仕方なかったのだが、なぜか今回 BIOSを updateしたときに、このあたりの不具合もどさくさに紛れてきれいさっぱり修正されていた。その割に readme の修正履歴に明記されていないように感じるが、こんなことでいいのだろうか...

追記2:早々に後継機(Libretto L2)が!

この購入レポート書いてまだ1ヶ月しか経ってないっちゅーのに、東芝、Ethernetを内蔵した新型Librettoを発表 ~Windows 2000モデルもラインナップ(impress様の記事)などという悲しい知らせが。しかも、上で私の書いた不満点がことごとく解消されているという...。新機種が出るとしても、3ヶ月以上後の話だと思っていたのに、こうもあっけなく出てきて、Windows 2000モデルまであるとはもうなんといってよいやら悔しい限り。

おまけに、私の買ったモデル(Libretto L1)は、発売僅か2ヶ月にしていきなり発売中止とか発表されると、「マーケティングを重ねて満を持して発売したというのは大嘘だったのかよ」と叫びたくもなる。ユーザとしては裏切られたというか、かなりげんなりするというか、もう二度と買いたくないなぁ~などという気持ちがでても仕方ないわな...。まぁ今から買う人には新機種を安心して勧められるのは事実なんだけど、いくらなんでも、ちょっとねぇ...。


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