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[2002.07.24] SHARP LL-T1620 (液晶モニタ)

低反射ブラックTFTに感激

5月に TFT液晶モニタ IO DATA LCD-A16H を買った(これは結局みみゆき様に譲った)が、この品は廉価であるとはいえ、とても映りのよいものでかなり気に入った。それとは裏腹に、私が丸々 7年間酷使しつづけてきた NANAO様の CRT 54Tのヘタリが気になってきた。NANAOの CRTには台形歪、糸巻歪、モアレ等々数多くの調整項目はあるものの、どう一生懸命調整しても、さすがに隅のほうは文字がぼやけている。また、若干だか歪みや滲みも気になる。これはさすがに CRTの限界だと思われ、現状 1152x864 という解像度以上には上げられないので、横幅だけ見ると Librettoにすら劣っているという悲しい現状。さらに、会社ではプログラム開発のため終日 CRTと睨み合いしていることもあり、家に帰ってまで CRTを見ると目が痛くてたまらない。さすがにそろそろ CRTもやめて液晶に新調した方が良いかもしれない。第一、目を悪くして眼鏡をどんどん買い替えることを考えたら TFT液晶に投資するのがよほど賢明というものだろう。

さて、今時液晶導入となれば、解像度はもう SXGA以上でキマリだろう。PC/AT, Mac, PC98 の共用モニタとなっている NANAO 54Tの置き換えと言うことを考えると、「2系統入力、HSYNC = 24kHz対応」は必須である。加えて、価格がこなれていること、映りが良いことなどが条件となる。こんなことを考えると、EIZO L465SHARP LL-T1620 しか選択肢がなくなった。

L465は LL-T1620に比較して実売ベースで1万円弱ほど安い。また、DVI接続における一部の相性問題を除けば評判も上々だ。しかし、個人的には「広視野角、高輝度、高速応答」を明確に謳った LL-T1620も捨てがたい。というわけでそれこそ散々悩んだ。NANAOファンの私としては当然 EIZO! と言いたいところだが、ネットで見る限り L465は中庸な作りで、LL-T1620がその個性から評判が良いようだ。さらに、個人的には NANAOブランドを捨ててからの EIZOに昔ほどの魅力を感じなくなってきていたというのもあり、第一候補を SHARP LL-T1620、第二候補を EIZO L465としてビックカメラに向かう。なぜビックカメラかと言うと、T1620を常設展示しているのはここぐらいしか思いつかなかったからだ。

シンプルなフォルムに魅せられて

さて、やはり店頭にいくと L465 69,800円、T1620 79,800円と1万円ほど価格差がある。しかし、T1620の方が黒が綺麗に出ている感じがする。さらに、シンプルなフォルムがとても気に入った。しかし、通販で T1620が 68,000円で出ていたことを考えると、10%ポイントを考えてもまだまだ差額がある。店員にその旨交渉すると、ポイントバックなしで 70,000円で精一杯とのこと。うーん、送料とか、店頭購入の安心感、持ち帰ってすぐに使えることなどを考えればこれでよしとしよう。というわけで早速保護。色はブラック(1620-B)とフロスティグレー(1620-H)があるとのことで、SHARPといえば X68000、X68000といえば黒でしょう! と一瞬迷ったが、さすがにこの前買ったPCケースが真っ白と言うこともあるんでフロスティグレーにする。ついでに、2系統入力ということもあるんで、DVI-Iケーブルも購入する。

NANAO 54T と SHARP LL-T1620 の比較

持ち帰って今まで使っていた NANAO 54T と並べてみるとびっくり(→写真:上面と正面の比較)。予想以上にむちゃくちゃスリムじゃないですか! それに、表示面。ブラックTFTの名に恥じぬ純黒ぶり。かたや CRTは写真を撮ってる自分が映りこむほど反射が...(笑) 54T は 17インチ CRTだが、T1620 (16インチ TFT) とこうして並べてみると表示面積は T1620の方が若干広め。消費電力も 54Tの 115Wに対し、T1620では 39Wで約 1/3 と、トータルでは液晶の圧勝だ。

いよいよ T1620に電源を投入してみる。もう、あまりの美しさに「はぁぁ」と思わず溜息が...。アナログ接続だと言うのに隅々まできりりと引き締まった表示、店頭で見たときは他社製品とあまり差が分からなかったが、これは期待を大きく上回る美しさである。さらに映り込みを徹底的に排除した「低反射ブラックTFT」で表示する黒は CRTの比ではない。とにかく電気スタンドの明かりを直接当てても殆ど反射しないと言うのはディスプレイの常識を覆されるようで驚愕に値する。スタンドも仰角調整のみの EIZO L465に比べ、左右調整可能と便利。超狭額縁デザインについてはスタイリッシュで文句なし。個人的にはこれで十分な美しさだと思うが、さらにDVI接続にするとよりシャープさが増すとの話もあり、いつか DVI対応ビデオカードに買い換えることができた暁には是非試してみたいものだ。

良いこと尽くめのこのディスプレイ、大きな不満点はないが、あえて挙げるとすれば、SXGA表示については何ら文句ないが、低解像度に至っては全てがフルスクリーンにされるため表示が荒くちょっと難あり。特に PC-98解像度 (640×400)に至っては、アスペクト比が大きく崩れてしまい全ての表示が縦にヒョロ長くなってしまうのは期待はずれであった(まぁ 98解像度について言えばオマケ的に付いてるという割り切りが必要なのかもしれない)。あと、操作ボタンがぺこぺことしたクリック感でちょっと安っぽい感じがするところ、あともう少し安くなればいいなぁといったところでしょうか。

それにしても机の上が広くなりすぎて寂しい(^^;) ところで、T1620には、内蔵ステレオスピーカー(1W) があるが、あまりにチャチそうなのでさすがに使った事はない。ただ、エラー音を出すとかそういった用途にはスピーカがあったほうが一般には便利だろう。特にビジネス用パソコンならわざわざスピーカを設置するのも憚られるだろうから、そういうユーザにとっては嬉しい配慮かも知れぬ。

と、以上を総括しても、価格がちょっと高いことを除けば大満足の買い物であったと思う。目の疲れも随分減ってきたように感じますし、体をいたわると言う意味でも、時代はもう液晶なんですね。特に、表面の反射が少ないと言うのは他社製品と比べても替えがたいメリットだと思います。

後日談

ところで、購入比較対象にあげていた EIZO T465、後日談だが ナナオ、液晶ディスプレイに不具合、1月下旬より修理(impress様の記事) との話。信頼と品質の EIZOでもやっぱりこういうことはあるんですね。ディスプレイに関して言えば、修理に出している間は PC本体そのものが使えないという、他の周辺機器にない重要性を持っているため、ユーザにとっては修理に出すことすら本当に辛い状況になりますから、メーカーも出張修理をベースに対応するなどして最善を尽くして欲しいものです。ただ、全ての情報が同社 WEB上にきちんと公開されているのは本当に信頼がおける素晴らしいことでして、ユーザ本位というメーカーのあるべき姿を見せていただけているように思います。


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