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[2002.06] ついに TOSHIBA Libretto L1/L2 復活 (追憶)

輪廻... またもや!

Libretto L2 PCカードのランド

めでたいはずの引越初夜(笑)だというのに、信じられんことは起こるものである。広くなった部屋に興奮したのか、お嬢様が Libretto L2 を投げて落下、無線 LANカードをめりこませ破損させるという大活躍。買いなおしてまだ僅か3ヶ月だと言うのに...。半年前に壊れた Libretto L1全く同じ原因、同じ壊れ方というのがとっても泣けてくる(T-T) またもや役立たずのモバイルパソコンが1台増えてしまった(T^T)... と泣いてばかりいるわけにもいかぬ。

早速中を開けてみると、想像どおり前回の破損と同じ症状だ。前回の経験から、こういった故障の損害額がどの程度になるかについては重々承知している。そして、ビック保証が受けられないことも...(T_T) 仕方ないので修理に出すのを諦め、PCカードコネクタを丁寧に剥離させる(→写真)。これでどうにか起動するようにはなった。

Libretto L2 は、L1と違い LANアダプタ内蔵なので、データのやりとりに関して当面困ることはないが、無線LAN環境PIAFS通信カードも使えないとなると、やっぱり不便だ。これは直さねば!!

「Libretto L1 昇天」のところでも書いたが、ヒロセ電機製「CardBus 対応 PCカードスロット用 SMT コネクタ」

SMTユニットIC11SA-68PLR-1.27SF-EJL
ガイドユニットIC11SA-BUR-PNEJL

が揃えば、気合で修理、運がよければ復活できるかも?という目星はついている。しかし、秋葉のヒロセ代理店にも在庫が無いような品をどこから入手しよう? というわけで業界絡みで調べた結果、ようやく業者*1)を見つけることができたのであった。

*1)状況から公開できる情報かどうか判断致しかねますし、問い合わせいただいてもお答えできません

1000ロット単位でなければ受け付けない(*2)などと言う話になったらどうしようなどと心配しながら業者に電話すると、「なんとか小口でも納めてもらえそうです、ただし、納期は2ヶ月弱はかかります」とのご回答。いやいや、この手の商品を小口で取り寄せていただけるというだけで、本当に感謝感謝です。しかも、ほぼ卸値そこそこと思われる価格で、当初の想像をはるかに越えて安い。本当にありがたいことです。

*2)この手の部品ではよくあることです(^^;)

修理記録

部品納品

PCカードスロット。上が破損品、下が新部品

待つこと2ヶ月、5月28日に納品される。写真右上が、Libretto についていた破損したコネクタで、左下が今回納品された部品である。形状が若干異なることに注意して欲しい。とくに、ガイドユニットについているリリースレバーの太さが異なる部分には、後ほど大いに悩まされることになった...

ところで、このPCカードスロットの SMTコネクタ、0.6mmピッチの 68ピンということで、取り付けはかなり難易度の高いものだ。ちなみに、こういった狭ピッチ多ピンのハンダ付けは、決してピン毎につけるのではなく、基板を立てて半田ごてをピンに当て、ハンダを球状になるまで湯水のように供給し続けながら、コテ先のハンダの玉をピンの並びに沿って、す~っと動かしてやり、終端部分でハンダ玉を切ってやるという一種の芸術的作業である(*3)。ただし、適度な速度で作業をやらねば、速すぎても遅すぎても必ずハンダ不良になる。

*3)と文章に書くと簡単に見えるが、通常のハンダ付けで失敗するレベルでは絶対に不可能だ。半田ごての温度やハンダの質、ハンダの供給速度やコテ先の角度など成否を左右する要素は多く、職人芸であることは間違いない。

個人的には今回より狭い 0.5mmピッチ QFPなどをつけるようなことは稀にあるものの、今回は、既に部品がびっしりと実装されているものに対して、部品の隙間を縫うようにして 0.6mmピッチをつけねばならないと言う意味で、その難易度たるや別次元である。一番上の写真にもあるが、PCカードのランド近辺には 1608(*4)1005 が所狭しと実装されており、ハンダを流し込むことすら憚られる状況だ。

*4)1.6mm×0.8mmサイズのチップ部品。同じく、1005といえば、1.0mm×0.5mmサイズ。他に0603などといったサイズのものもある

いよいよ実装開始!

いつまでも眺めていても仕方ないので早速作業に取り掛かる。今回は、Libretto L1, L2 ともに一気に直してしまおうという作戦だ。まず、メインマシンである L2からとりかかる。

Libretto L2 とりあえず取り付けは終わってみたものの...

しかし、コネクタ近傍の部品群が邪魔になって作業がスムーズに進まない。結果、もたもたと作業を終えるものの、どうも自信がない。作業に時間がかかるということは、ハンダが劣化して半田ごてやコネクタに纏わりつくことで、即ハンダ付け不良の原因となる。

メインボードに HDDと LCD、キーボードを接続して電源を入れる。Windows XPがスムーズに起動して一安心。PCカードを挿してみると「新しいカードが見つかりました」の表示が。電源も INTも正常に認識しているようだ。ただ、カード情報表示(=CISの内容読み取り)が滅茶苦茶である(T_T) どうもデータラインのどこかに問題があるらしい。もう一度基板を開けてよく見てみる(→写真)が、目視の範囲ではハンダ不良がイマイチ分からない。と、基板を良く見ると、数点剥がれかけのチップ部品が... どうやら無線LANカードがめり込んだときに、コネクタと一緒に破損したと言う雰囲気だ。今まで気づかなかったなぁ。あーあ、コネクタだけじゃなく基板の方もイカレてるんじゃ、ちょっと望み薄だ。既にこの時点で深夜2時を回っており集中力も限界に達していたので力尽きて寝る。

一夜おいてリベンジ

一日空けて木曜日、駄目もとで再度チャレンジ。L2の復活が難しそうなので、今回は L1から手を入れる。奮闘すること1時間、なんとか WinMeを正常起動させ、カードの認識に漕ぎ着けた\(^^)/ よっしゃ、組み立てるぞ! しかし、カード取り出しレバーが筐体の穴から出てこない。よくよく見ると全然サイズが違うでわないかっ! 悲しいかな、カッターナイフでしこしこと削り、ヤスリがけしてレバーを細らせるという作業にさらに1時間かけ、ようやく Libertto L1が復活した。次は L2だ。

一昨日つけたばかりのコネクタを剥がし、チップ部品群をもう一度チェック。3点ほど脚が浮いた部品を発見し、ハンダ付けし直す。いよいよ、コネクタ取り付け作業開始。こういうこともあろうかと、コネクタを多めに発注していて良かったとつくづく思う

orz...

作業も終盤に差し掛かろうかというところで、なんとあろうことか、ハンダの玉が、ランド横にある 1005チップコンデンサを巻き込んで流れ落ちてしまった。あーあ、何てことだ! とりあえず、動揺しないよう心がけつつ、コネクタのハンダ付け作業を終わる。その後、ハンダボールの中心から 1005の掘り起こし作業。ん、結構楽しい作業かも?

さぁ、最後の作業、1005コンデンサの取り付けだ。しかし、コネクタと隣あう 1005の別コンデンサの隙間に 1005をつけるのは辛い作業だ。思わず発狂しそうになる。ピンセットでチップをつまみ、半田ごてを当てた瞬間... 1005がスポーンと飛んでいってしまった...

それからは地獄だった。シャープペンシル芯の削りかす程の部品を探して懐中電灯片手に部屋中の床といい、壁といい、舐めるように捜しまくる。飛んでいったのが抵抗なら抵抗値も分かるので調達可能だが、よりによって容量不明のコンデンサとは... PCカードスロット近傍の部品であることからしても、このコンデンサ1個ないだけで、データがあがってこなかったり、アクセスが不安定になったりすると言うことなのだろう。本当にここまでの作業は一体なんだったんだろう...。そんなことを回想しつつ1時間以上経ったところで、ビデオデッキの操作パネルに張り付いている 1005を発見。ほんと、この喜びをどう表現してよいのか...(^o^)

組み立て、緊張しつつスイッチを入れてみる... と、動いた!!\(^o^)/ こうして 2台の Libretto は蘇ったのであった。


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