トップページ > 家電レビュー
[←BACK] [NEXT→]

[2002.11.30] Panasonic DMR-HS2-S (HDDレコーダ)

映像記録もようやくディスク化...

Panasonic DMR-HS2-S

DVビデオの編集や過去に集めた映像メディア(LDやビデオテープ)のバックアップをどのようにしようかと散々悩んできた。最初はPC上で作業を行おうとCPU増強したり、メモリ増強したりしてちまちまやっていたのだが、結局は、映像を録画・編集・保存するには、それなりの動画編集ソフト+DVDドライブ+TVチューナーカード+MPEG2ボード云々が必要ということが分かり、途方にくれているところであった。

と、ここへ来て、ビックカメラ天神で HDD内蔵 DVDレコーダ Panasonic DMR-HS2-S が 95,000円(+ポイント13%) を見てからというもの、そろそろ買わねばならない強迫観念に駆られるものの、そこはぐっと我慢。家に帰りネット上でユーザの声をかき集めると結局これは買いの商品であると言う結論に至り、結局買いに行く羽目に...。

レビュー

使用感であるが、まず、デザイン面。最近の Pana製 AV機器の統一イメージである鏡面仕上げがとても美しく、良い感じ。磨くための専用クロスが付いている(笑)のにはちょっと面食らったが、これがまたとてもよく磨けるので感心。本体スイッチは必要最小限、コンパクトにまとまっており、充分洗練されているように感じる。

次に画質面だが、これも十分満足。世の中には、映像に妥協を許さない人が多いらしく、XPモードじゃないとダメだとか言われる方もいらっしゃるようだが、私個人的には、TV番組などの単なる録画用途であれば LPモードでも充分ではないかという気がする... というか、(私見だが)SP や XPでは、DVDディスクに記録するときのランニングコストが現状あまりにも高すぎるので、ここぞというもの以外では手軽に使えないだろう。かといって、EPまで落とすとブロックノイズが大量に目立ち、一部字幕などはかすれて読みづらくなる。

続いて機能面。「追っかけ再生」と言うのは当初考えていたよりもはるかに実用性がある。「追っかけ再生」というと、カセットデッキで言う「3ヘッドデッキ」を彷彿とさせるが、どうもこの表現、悪い方に誤解を招く感じだ。これは正確に言うと「再生しつつも、一方で録画もできるという機能」であり、録画と再生を完全に別のアクションとして行うことが出来る。これは、ビデオデッキが2台あることに匹敵する便利さだ。実際、私も 過去の VHSテープを HDDにダビングしつつ、前日 HDDに撮った TV番組を見るなど時間の有効活用を図りつつ便利に使っているし、そこまでせずとも、単なる追っかけ再生という意味でも、それはそれで充分便利だ。例えば、21:00~23:00 の 2時間番組などは、21:25ぐらいから「追っかけ再生」で見始めると、CMを飛ばしつつストレスなく定刻には見終わることができる。

また、HDD→DVDディスクへの書き出しだが、DVD-RAM(2倍速)と DVD-R(等速)がサポートされている。筆者はもともと DVD-RAM のコストパフォーマンスには疑問をもっておりまして DVD±RW派だったのですが、いざ DVD-RAMを使ってみると悪くはないです。とにかく、カートリッジタイプと言うのは片面ならいざ知らず、両面ディスクではとても使い勝手がよく、また、DVD-RAM のランダムアクセス性も極めて高く、殆ど HDD感覚で扱うことが出来るので、実は映像を扱うには最良の媒体ではないかという実感が持ててきた。しかし... とにかく DVD-RAM は高い!(^^;) かといって、本製品の場合、DVD-R については等速書き込みしかサポートせず、さらに HDDへのデータコピーも不可ということで、事実上再編集の手立てがなくなることもあり、積極的に選ぶ理由もない。このあたりには DVD-RAM陣営ならではの微妙な戦略が伺える。

DVD-R の話が出てきたついでに... 当製品で書き込んだ DVD-R (FUJI製メディア) は、DVDプレーヤ Panasonic DVD-RV20 でも、PC上の DVD-ROMドライブ+WinDVD 2000でも問題なく再生できた。ただ、各種掲示板等の情報を見ると、ドライブとの相性問題が発生する可能性がそれなりにあるということは心に留めておく必要はあるようだ。ところで、DVD-R に書き込んだときに作成される「メインメニュー画面」はテキストベースのもので気持ち程度。あまりにも味気なく、とても誉められたものではない。他社の製品ではサムネイルを表示したグラフィカルなものもあるらしく、差をつけられている感じは否めない。

操作面。直感的に使えるよう全般に工夫されており、取説なくともある程度までの操作は可能である。しかしながら、タイトル入力画面とにかく不満。入力モードには「ひらがな、全角カナ、半角英数、全角記号」があるが、そのうち、かな漢変換の関係で一番使用頻度の高い「ひらがな」には本当に「ひらがな」しか入っていないという不親切さ。せめて「ひらがな」の余ったところに

・~!?&/「」()

などの使用頻度の高い最低限の記号ぐらいは入れて欲しかった。例えば次の実在する番組タイトル(NHK「プロジェクトX」より)

誕生人の目を持つ夢のカメラ」~オートフォーカス14年目の逆転
(黒:ひらがな、赤:全角記号、青:半角英数)

を打ち込もうとすればひたすらモード切替が必要で、とてつもない労力が必要になる。こんなことはひらがなモードに上記10個程度の記号を追加しておけばかなり改善する話で、そもそも、本製品は TV録画をする装置なんだから、最低でも TV番組欄のタイトルで出てくる文字を入れやすくするぐらいの工夫はして欲しい。また、「ば行」「ぱ行」の違いが極めて見づらく、画面ではさっぱり見分けられないのでよく打ち間違う(これは結局慣れるしかないです)

というわけで、タイトル編集に関してはまだまだというのが率直な感想で、贅沢言えば WEBサーバ搭載して、イーサネット経由で編集できるぐらいはやって欲しいものだが、そこまで言わずとも、せっかくPCカードスロットがあるんだから、メモリカードにディスクのタイトル一覧を吸い上げさせて、PC上で編集させ、またメモリスロットから書き戻させるぐらいは可能なんじゃないでしょうかね?? まぁ結局、操作性云々については、これからの商品ジャンルということなんでしょうね...。

ところで、メーカーは、DVD-RAM デッキについては、安い HDDなし DVD-RAM専用モデルの方が売れると予想していたらしいが... ちゃんとリサーチとかしてるんだろうか?? ちゅうか、ビデオデッキをまともに使った事ないのかしらん? ビデオテープにおける最大の不満である「1カセットに同一番組を連続して撮ることが事実上困難【=一回撮ってしまうと番組の整理が事実上できない】」「予約録画をセットしていても、家族の誰かがテープを入れ替えて再生したりなどしていれば録画できない【=家族での共用が困難】」という問題を全て解決できるのが HDD/DVD-RAM ハイブリッドレコーダの最大の特徴で、どう考えてもこちらが売れて当然なのに...。じゃなきゃ VHSデッキで十分だよ(1万円台だし)。

後日談

DVD-RAM ディスクのローディング機構不具合

DMR-HS2内部

年末年始番組を HDD録画して、HDD→DVD-RAM へと転送作業をしている中、悪夢は起こった。突然勝手に POWERが落ち、一体何なんだと思いつつ電源を投入するが、「RECOVER表示→U11表示→自動電源OFF」をひたすら繰り返すだけ。何回電源を投入しても同じ現象。U11表示というのは、取説を読むとディスク読み込みの不具合とのことで、イジェクトボタンをひたすら押すが何の役にも立たず。これはただ事ではないと思いメーカーの公式サイトを片っ端から読むが取説以上の何の情報もなし。

慌てて掲示板の書き込みなどを調べると、どうやらこれはDVD-RAM が詰まっているときの現象だそうで、イジェクトボタンを押しても出てこないようならメーカー修理に出す(もしくは最終手段)しかなさそうだ。Pana 純正ディスクを使っているのに何たるざまだ。ところでメーカー修理に出すと HDDの録画内容は保証されないこと、さらに、何らかの理由で HDDの取り外しをされてしまえば、理由の如何に関わらず HDDのデータは強制フォーマットされると言う掲示板の書き込みを見るにつけ、せっかく撮り貯めしてるのに冗談じゃねぇよと思いつつ、最終手段に。
【警告!】機器の分解、改造については、メーカーは取扱説明書において「死亡または重傷などを負う可能性が想定される」と明記し、禁止しています。また、DVDデッキは精密機械であり、さらにレーザー照射部を備えています。誤ってレーザー光を目に入れるようなことがあれば、失明や視力低下などの重大な危険を伴うことがあります。また、メーカー補償範囲を越える機器の分解や部品換装は、全て各自の責任となります。各自で取った行動の結果に関して筆者は一切責任を負いません。本ホームページ閲覧上のご注意もご一読ください。

Panasonic 純正 DVD-RAM のシャッター部

で、結局、DVD-RAM ディスクの保護カバーがローディング機構に引っかかっていたようだが、見れば見るほどこのカバーはホントぶよぶよで(→写真)、これでは 20年昔からある 3.5インチフロッピディスクのカバーにも劣る精度だ。逆に、これが引っかからない方が不思議なぐらいだ。ダメだなこりゃ。

最近の電化製品全般にいえることだが... 製品の機能は高度化する一方だが、機構面では疑問符がつく製品が多い。例えばプリンタなどは、インクヘッドのような精密メカ(心臓部)には開発の労力をかけるが、給紙機構などはガタガタ。モノによっては、紙は詰まって当然という開き直りすら感じさせるような製品もあったりする。確かに、どんなに精密なプリンタだって紙詰まりすることがある。だからこそ、いざと言うときは、手動で紙が抜けるように設計されているのだろう。だいたい、紙詰まりの度にメーカー送りというのじゃぁそんなプリンタ誰も買わんだろ

いや、プリンタだけではない。パソコン搭載の CDドライブや DVDドライブなどでも、非常イジェクト用のピンホールがあるぐらいだ。DVDデッキだってディスクは詰まることがあるのだから、いくら民生機器といえど、ディスクの緊急排出用の手立てを講ずる配慮ぐらいはして当然ではなかろうか。大体、ディスク詰まりという、ある意味ホントしょうもないことでメーカー送りにさせ、ユーザの利便性を損ねるというのはかなり疑問を感じるところで、早急に対策を講じて欲しいところだ。

まとめ

製品全体の完成度が高いだけに、ちょっと後味の悪い部分もあるが、DVD-RAM/R+HDD+MPEG2ボード+TVチューナが一体化され、この利便性を提供していることを考えれば、総じて価格的にも、機能的にも大満足である。特に、一台目の HDD/DVDレコーダとしては文句のない製品ではなかろうか。さぁ、皆買うんだ! そして、DVD-RAMの媒体価格を下げよう(^^;;;;)


本サイトへのリンクはご自由にどうぞ。詳細についてはCopyrightのページも合わせてご参照ください。
© 2003 tecmemo.com, All Rights Reserved.