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[1998.06.06] Audio Technica ATH-W10VTG (ヘッドホン)

この質感が...

ATH-W10VTG

特に用事はなかったものの、会社の同期W氏とキャナルシティへ行きうろうろする。ルーチンワーク的ではあるが、お決まりのルートということで、メガバンドールのオーディオ売り場へ行く。

TRACKSが閉店して早2ヶ月が経過してしまった今も、相変わらずそれに変わる魅力的な店を見つけることができず、オーディオ関係もなんだか腑抜け状態である。ショーケースの中にあるデコード針やカートリッジを見るにつけ、レコードを買いたい衝動に刈られると同時に、LPを入手できるお気に入りの店が消えたんだという空しさが心をよぎるのであった。

さて、裏に回ってみると、ヘッドホンの山がある。我々、隣のTVの音が聞こえるような壁の薄い独身寮で生活をしているため、仕事から帰ってきて夜中に音楽を聴くわけにもいかない。そういう意味ではヘッドホンは常に物欲リストの上位にランキングしている。だが、それなりに音楽を聴こうとすると、やはりヘッドホンはいいものが欲しい。特に、昨年末に最新鋭 DACを載せた市場最高価格の MDプレーヤを買った以上、音の出口としてのヘッドホンにはある程度こだわりたいものだ。しかし良いものはそれなりに値が張る(T_T) 買うあてもない我々だが、そんなことを考えながら毎回ここに来るたびにヘッドホンを比較試聴してしまうのであった。

一通り試聴も終わり、さて次の売り場へ移ろうと振りかえると、そこに見慣れない、なんだかとっても艶やかなヘッドホンがあるのが目に止まる。Audio Technica ATH-W10VTG? 手にとって嘗め回すように(笑)観察する。オーディオテクニカのヘッドホンは今まで4台程遍歴があるが、これはなんだか今まで使ってきたものとは異なり、凄い造りだ。ハウジングは木製で、一見漆っぽいが、車の木目調内装のような嫌味はまるでない、とても清々しい高級感だ。それに、ピンジャック部如きにも木が使われ、同じ処理が施されている。

3万円かぁ。ヘッドホンとしては高価な部類にはいるが、他の同価格帯の製品と比べるまでもない、高貴なまでの圧倒的な質感だ。置いてあるカタログを見ると、「飛騨高山産ミズメ桜無垢材」削り出しのハウジングに、ケーブルはシルク100%とな!? オーディオ機器への投資が一段落したはずの私ではあったが、なぜかこのヘッドホンがとても欲しくなってきた。しかし、残念なことに、展示品が機器につながっておらず、試聴ができない。音の出口であるヘッドホンを試聴もせず買うわけにはいかない。やっぱやめだな。と、その瞬間、値札の下のほうに小さく「限定発売 数量5個」と書いてあるのが目に止まった。これはいかん!!

散々悩む私に、W氏一言「これはいいよー」。早速ゲットして帰り、試聴する私がいた。

うーん、期待したほど音は良くないなぁ...。なんか雰囲気は出てるんだが、楽器のきらびやかさとか、音の艶やかさがちょっと足りない。これなら、同価格帯の S社の製品の方が良かったなぁ...。でも、まだ買ったばかりでエージングも済んでない状態だし、しばらく使っていれば良くなってくるだろう。それに、なによりインテリアとして持っているだけで陶酔できる逸品だ。カタログの写真は極めて写真写りが悪く、ほんとにしょぼいが、実物はそこはかとなく趣があって、すっごいイイ感じです。

公式情報は、オーディオテクニカのサイト内(http://www.audio-technica.co.jp/atj/products/hp/ath-w10vtg.html)にありますのでご一読を。


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