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[2001.04.22] NEC PC-9801VX21 (パソコン)

懐古 - 5インチの魔力

搭載された5インチFDD

右写真資料は、PC-9801 の 5インチドライブを移植した ウチの自作ATマシン

最近、FMPのエミュレータなるものがあるのを知って、早速 Windows に入れてみたりしていた。まぁ、私としては純正 86音源ボードを持っているので、わざわざエミュレータ動かす必要は皆無といえば皆無なのだが、やはりいつも使っているPCの環境で様々なソフトが動作するというのは大変便利なものだ。それにしても最近のエミュレータの完成度というのはどれをとっても本当に高く、コンピュータの可能性というものをひしひしと感じるとともに、忘れていたパソコンのおもしろさというものを思い出させてくれる。

と、そんなところに、先週、ビックカメラ天神へ行ったとき、書棚に「マニアしか知らない最強のエミュレータ超入門(井原真佐和 著 すばる舎 刊、1,800円、左図)」なる本を見つけた。内容は、PC-8801 や X68k、Macエミュレータなどの導入方法や使い方などをまとめたものだ。

思えば、X68000シリーズのBIOSやOSが無償公開(impress様の記事) という発表がなされたのは昨年である。実に世界のコンピュータ史に残るこの英断に至った関係各位のご努力とご尽力に感謝するとともに、国産のコンピュータでこの判断がなされたことに心から誇りに思ったものです。それ以来、かねがね、いつか Win上で X68kエミュレータを動作させてあげねばと思いつつ、当時ダイヤルアップ接続だった私は、ドキュメントを読むだけで一苦労ということで、なかなか重い腰が上がらなかった。そんな私にとって、この本はこの上なく便利に思えたので、早速買ってきました。記載内容はネットサーフィンしていれば得られるレベルの情報の集大成ではありますが、必要なところはズバリと押さえてある、かなりコンパクトにまとまった本です。

あこがれのX68000、ここへ!

SHARP様のご英断に感謝しつつ

で、早速 FSHARP(SHARP PRODUCTS USERS' FORUM) から BIOS, Human68k, SX-WINDOW を、さらに yamama様のサイトから EX68 (X68000 Emulator for Windows95/98/NT/2000)をダウンロードさせていただき、本の内容に従い早速インストールし、リセットをかける。おおっ、懐かしの X68k起動画面が...動いたぁ~。ちょっと感動に浸る私だった。

こうなると X68kの各種ソフトを動かしたくなってきた。しかし、ここでちょっとした問題点が... そう、自作機には当然のように 3.5インチ FDDがついているのだが、私の手持ち X68kソフトは(やはりといっては何だが)、全て5インチディスクなのだ!! こうなったら、何が何でも 5インチ媒体を 3.5インチ媒体に変換せねばならない。ところで、Human68Kで採用されている 5インチメディアフォーマットは、NEC-DOSと互換性のある 1.2Mフォーマットであるので、3.5インチへの変換は手持ちの PC-9801 RA51を使えば楽勝である。というわけで早速 RAを立ち上げる。

こんなところで2000年問題!?

久々の RA起動だ。おそらく、21世紀に入って初めてじゃぁなかろうか。RA51が発売されたのが 1989年だから、すでに干支が一回りしようとしている。しかしながら未だに DOSを使えば当たり前のようにさくさくと動作するのは見ていて懐かしくもあり、また気持ちよくもある。さて、早速コンバート作業に移るか...。しかぁし、そうは問屋がおろさない。なんと、RAを動作させている MS-DOS 6.2は、当然のように 2000年問題対応なのである(笑)。おかげで日付が化けまくってひどいことになっている...。とりあえず、コンバート作業だけは支障がないものの、ファイルをコピーしたりなどすると、日付がとっても変な感じだ。

なんだかこのまま 3.5インチにメディア変換して使っているのも気持ち悪いなぁなどと思いつつ、片手間に本のページをぱらぱらとめくっていると、なんと、「PC-9801内蔵 5インチドライブを ATマシン上で動作させる方法」が載っているではないか! 私もこういったことは、そのまた昔、考えないでもなかったが、いかんせんジャンパスイッチなどの情報が皆無だったのでてっきり不可能なものと決めつけてしまっていた。しかし、ここにその情報が!!

突然、ATマシンに 5インチドライブをつけたくなってきた。そうすれば、5インチメディアに関する2000年問題も一気に解決だ(笑)。しかし本だけの情報ではちょっと不足だ。というわけでさらに googleなどで検索していると、SLAVE OF PC(ひらば様のサイト、リンク切れ)の「改造日記」にある「PC-98の5インチFDDをAT機で使う」がヒットした。おおっ、私の欲しかった情報が、まさにここに集約されている!!

うーん、なるほど、VM/VXのドライブだとベストということだな...。ナイスなことに我が家には 7年前にジャンクで買って完動している PC-9801 VM21のストックが1台ある! ということは、このドライブを流用すれば何ら問題ないではないか!

しかし、考えてみれば、この VM21は、ウチにある唯一動く V30マシンだ。まぁ手持ちの RA51も i386(Cylixに換装済)に加え、純正 V30を持ってるので全然問題ないといえばないのだが、UV2が昇天したときの経緯を考えれば、いつ RA51が死んでもおかしくはない。おまけに、ついこの前、会社で使っていた私物の PC-9801 ns/Rがお亡くなりになったばかりで、意外とPCは脆いということを身にしみて実感しているところだ。VM21を部品取りにしたあと、RAが死ぬとなると、本当に使えるPC-9801がなくなってしまう!! こんなことを考えながら躊躇しているうちに数日が過ぎた...。

やっぱ、5インチネイティブドライブだよね!

PC-9801VX21 を100円で保護

PC-9801CV21

VX21とVM21近影

そんなある日(4/22)、ふらふらとアプライドに行ってみると、なんと、大ジャンク市をやっているではないか。98XA、9801DA、9801F、H98、9801CV(←左図)等々(^^;)もうマニア垂涎の光景がそこに。98DOがなかったのが惜しいといえば惜しかったが...(爆笑)。

さらに、期待を裏切らずに、そこには PC-9801VX21が 100円で売られていた。うーん、状態はマァマァか。ま、2台もフロッピドライブがあれば、どっちかは動くことだろう。これは買いかもというわけで入手。ついでに、今自宅のRA51で使っているキーボードが死にかかっていることを思い出し、同じくジャンク品を漁り、程度のいい PC-9801用 キーボードを同じく 100円で入手する。さぁ、帰宅だ。

さすがにジャンク品...

家に帰って早速 VX21に電源を入れ、MS-DOSシステムディスクをぶち込んで起動してみる。しかし、起動しないどころか、メモリチェックすら走らない。「ああ、やっぱ所詮ジャンク品だ、100円で当然だなぁ」などと思いつつも、ドライブの動作が確認できないものをATにいきなり持っていくというわけにもいかず、何とか動作確認したくなってきた。仕方ない、手持ちの VM21のドライブと入れ替えてチェックしてみるか...と早速ドライブを取り出す。右写真は手持ちの VM21と、買ってきて早々ドライブを取り出した VX21である。同じような筐体、しかも13年落ち品が2台も重なるとなかなか壮観だ(^^;)

VXからドライブを取り出して、VMのドライブと交換しようとしたところで、念のためいったん VXをブートさせてみることにした... と、「Hom many files(0-15)?」だと?? 問題なく起動するではないか...。うーん、フロッピドライブが変なのか? と思いつつ、VXのフロッピドライブと VMのドライブを入れ替えてみると、今度は VMが立ち上がらなくなってしまった(笑) どうやら今回ジャンクで買ってきた VXのドライブが死んでいるらしい。しかも、電気的に...。

ドライブを入手するために買ってきたのにドライブが死んでいるとなると単なる粗大ゴミ以外の何者でもないのだが、2台あるドライブの両方が壊れている訳ではなかろうと思い、分解して丹念に調べる。結果、VXのドライブ2は、電気的に完全に御昇天で、このドライブを接続すると98自体が立ち上がらないほど致命的な問題点がある。一方、ドライブ1の方は、ヘッドをアルコールでごしごしとクリーニングすることで、なんとか辛うじて動作するようになった。よし、ATマシンへ移植じゃ。

発見!! Windows の隠れキャラ

というわけで、冒頭の写真となったわけである。うーん、このメカニカルさがたまらん!! やっぱ5インチベイは5インチドライブのために存在するでしょう。他にいったい何入れるのって感じ(笑) CDなんて所詮90年代のドライブでしょ。PC/ATマシンには、やっぱ5インチフロッピないとねぇ。

5インチドライブのアイコンBIOS設定が終わって再起動後、「マイコンピュータ」内に、なんと、5インチのアイコンが!!(笑) Windowsごときに、こんな細かい演出があったとは、なんか隠れキャラ的で死ぬほど笑える。8インチドライブとか QDとか繋がったらどうなるんだろうね...(そんなことないか!)。一通りの感動の後、早速 X68 Emulatorを動かしてみる。おお、ちゃんと動く!!

しかし、この直後に悲劇が待ち受けていようとは、このときは知る由もなかったのだった...


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